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2025年4月号 特集 関西エリアのリーダーが描くそれぞれの未来

阪神甲子園球場100周年、阪神タイガース90周年 地域の一員として、環境に配慮して次の100年も

【月刊HOTERES 2025年04月号】
2025年06月06日(金)
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環境省、企業の協力を得て「あらゆる方法」でゼロカーボン化へ


義田 環境への取り組みも積極的に行なわれていると聞きました。

粟井 2009 年に耐震補強と動線の整備のためのリニューアルをしたのですが、その際、銀傘の上に太陽光パネルを付けたり、雨水を貯めるタンクを作ってトイレや散水に使えるようにしました。企業様の協力を得て、代替的にCO2の排出量を減らす「カーボン・オフセット試合」を開催したり、関西電力様にエコパートナーとなっていただき、球場で使用する電力の再エネルギー化も推進しています。照明もLED に変え、消費電力量は格段に下がりました。

義田 3月には、尼崎市に「ゼロカーボンベースボールパーク」もオープンされるそうですね。

粟井 ファームの公式試合を行なう球場「日鉄鋼板SGL スタジアム尼崎」(以下、SGL スタジアム)と室内練習場を建設しています。元々は西宮市内にあるファーム施設が手狭になって移転先を探していたところ、尼崎市さんに誘致していただいたのです。尼崎市南部にある小田南公園という都市公園内なのですが、公園と隣接する遊休地を合わせて7万平米以上もあります。そこに私たち専用の球場と練習施設をつくると共に、市民のための球場も建てるなど、小田南公園の整備も行ない、建てた施設の一部を竣工後に尼崎市に寄付したうえで、阪神グループが管理・運営していくスキームとなっております。

義田 大きな投資ですね。

粟井  甲子園球場のようにコミュニティの一部だと思っていただける施設になれるよう、精一杯できることをと考えました。ファームの寮もつくり、選手も住ませていただく街ですから。

 

義田 施設自体に「ゼロカーボン」を謳われているのも驚きました。

粟井 環境省が、脱炭素化に取り組むエリアを「脱炭素先行地域」として推進されているのですが、尼崎市との共同事業として、親会社の阪神電鉄の駅施設を含めてその対象に選ばれ、ご支援いただけることになったのです。プラスアルファの投資もして、太陽光発電と蓄電池の導入から、ゴミ処理場の廃棄物発電の利用、省エネ徹底により、あらゆる方法で脱炭素に尽力しました。その結果、「ゼロカーボン」が可能になったのです。満員でも4400人という規模感だからこそ実現できた部分も大きいですね。

義田 1からのスタートですが、どのような未来を描かれていますか。

粟井 甲子園球場が歩んできた道をできるだけ短期間で歩み、地元のコミュニティの一部だと思っていただける施設になることです。ファームの施設は甲子園球場より小さいですが、だからこそ、尼崎市のみなさんと一緒に成長していけるのではないでしょうか。尼崎市の商店街には、開幕前から優勝マジックを点灯するほど熱心なファンがいてくださいますし、心強いですね。

義田 2025 年は大阪・関西万博の年でもあります。

粟井 この機会に海外の方にも阪神タイガースを知っていただき、チケットを買っていただける仕組みを取り入れていけたらと思っています。また、今年は阪神・淡路大震災から30年、太平洋戦争終結から80年の年でもあります。そういう意味でもぜひ優勝したいと考えています。

義田 震災のあった年や戦争中、甲子園球場で野球は行なわれていたのでしょうか。

粟井 野球が止まったのは、戦争中とコロナ禍だけです。スポーツは無力かもしれませんが、大変なときこそ元気を出していただける存在でもあると思います。そして、戦争も震災もコロナも、後世に伝えていかなければいけません。今、甲子園球場の銀傘を延ばす工事も進めています。戦前はアルプス全体を覆っていたのですが、戦中の鉄の供出で、軍に持って行かれてしまいました。もう一度アルプスを覆い、平和の象徴としての存在を目指していきたいですね。

義田 新時代の幕開けですね。銀傘工事の着工とSGL スタジアムの完成、そして悲願の優勝と、2025年は阪神タイガースにとって大きな節目の年になりそうです。

粟井 ありがとうございます。絶対優勝します!

 

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