厳選されたモダンな家具と、都会にいながらにしてリゾートにいるかのような開放的な雰囲気の中過ごせる7階のメンバーシップ会員専用サロン。クリニックのメニューやアーユルヴェーダの施術に「百薬 by 徳山鮓」の食事まで、一処で体験できる完全プライベート空間だ
新たな時代のスタンダードが創出される時、既存の価値観と新たなスタイルとの接点を見つけ出し、違和感なく融合させることが求められる。しかし、新たな価値観の提唱をすることと、実際にその接点を違和感なく、かつ具体的な体験として実装にまでつなげ得ることはイコールではない。加えていえば、前者はあまたあれど、後者をし得る才能は稀有だといっていい。
その意味で、昭和・平成・令和と異なる時代背景の中において、常に時代の節目に既存の枠組みに変革をもたらしてきたエポックメーカー、ソルト・グループ代表の井上盛夫氏が次なるスタンダードとして掲げるのが“ロンジェビティ”だ。そしてこの度、その概念を‟科学、伝統、食“と多角的なアプローチから体感するための新ブランド、‟THE HUNDRED”を起ち上げ、フラッグシップ空間となる「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」を銀座にプロデュースした。
8階の「WELLNESS SALON」は、ソルト・グループが「EAT PLAY WORKS」開業以来重視してきたマインドフルネスやウェルネスの考えを、「THE HUNDRED」ブランドにも反映した空間。ネパール出身でアーユルヴェーダ医師資格を持つ専門家を招聘し、SUWARUのニーマル・ラージ・ギャワリ氏監修のプログラムをもとに、お客さま一人ひとりに合わせたカスタマイズメニューを提供している
ところで、“ロンジェビティ”という言葉及び概念は、海外の富裕層や知識層の間では広く知られているが、日本ではまだ一般的とは言い難い。同ビル開業の折、「日本にもとうとう、“ロンジェビティ”を提案する施設ができる時代になったのか」と口にした識者がいたほどだ。
そこでまず、“ロンジェビティ”の定義を確認したい。同語は単なる長寿を意味するものではない。“身体、精神、社会的なバランス”を意識的に調和させ、より健康的で充実した人生を歩むためのライフスタイル全般を指す。人生100年時代を迎えた今、“より健康的で充実した人生”を過ごすためには、身体的な課題にアプローチするだけでなく、心のケア、そしてその先にある真の豊かさも伴う必要がある。そこで‟THE HUNDRED“では、日本が世界をリードする先端医療を用いた科学的アプローチに、インドの古代から伝わる伝統的な医療体系かつライフスタイルであるアーユルヴェーダ(※)、そして医食同源とガストロノミーの融合からインナーヘルスにアプローチする食の3本柱で“ロンジェビティ”を提案している。
日本のカルチャーシーンを常に牽引してきたソルトコンソーシアム代表・井上盛夫氏。氏が手がけた最新ブランド‟THE HUNDRED“では、宿泊施設を含む多角的な展開が予定されている。いま、日本のニュースタンダードが新たなフェーズへと移行しつつある中で、時代を形作るロールモデルとなる先進的ブランドの中でも、同ブランドはひときわ存在感を放ているといえる
そこで井上氏に‟THE HUNDRED”ブランド創生に対する思いを伺ってみた。
「‟THE HUNDRED”は、人生100年時代をいかにして豊かに、そして幸せに過ごしていくか? というテーマを軸に、それらを心身両面の健康からアプローチしていくという形で展開していくブランドとして創生しました。
このブランドを作るにあたって、まずは‟よりよく生きるとは何か? そしてそれを日本から世界に発信する上で強みとなるものは何なのか?“という点からコンセプトワークをはじめました。その際に柱としたのがまず、世界的にもトップクラスの技術を持ち、かつ熱い信頼を得ている‟先端医療“を提供するクリニックです。しかし、最近は大学病院から一般のクリニックまで、西洋医学の診断から導きだした治療方針に漢方や鍼灸といった東洋医学の叡智を加えることが増えているように、伝統医療の知見も同時に提供することが大切だと考えました。ちょうど世界的にも‟バイオハックの概念”が先端のライフスタイルとして定着してきていたこともあり、普及の意味も込めて日本人のライフスタイルにもそういった考えをアプローチする機が熟したのではないか? という思いもありました。そこで、こちらについてはアーユルヴェーダの見地から心身両面の健康にアプローチするサロンを、ネパールから専門家を招聘してプログラムを作ることにしました。ちなみにアーユルヴェーダは日本発祥の文化ではありませんが、日本人が古来から大切にしてきている禅の教えにもある‟心と体のバランスをとり、自然と共に生きること“を大事にしているという意味では同じ思想を持っていますから、日本人にとって親和性の高いアプローチだと考えています。
ただ私は、こういったことを‟正しさ”だけで構成するのは、まったくもって意味がないと考えています。なぜなら、幸せであることにはやはり‟楽しさ“が不可欠な要素だと思うからです。そこでやはり‟食“の要素も欠かせないと考え、‟体も心も喜ぶ食”とは何か? と考え、日本が古から受け継いできた発酵の食文化、地球と向き合う、自然と共に生きるという意味も含めたジビエ文化などを食養生、医食同源の考え方に基づいた料理を提供するレストランを創ろうと思った次第です。
これらのイメージから旗艦店として立ち上げたのが『THE HUNDRED ロンジェビティハウス』になります。今回は都心型の施設としてクリニック、アーユルヴェーダサロン、レストランの3つの側面から訴求するスタイルにしましたが、今後展開を予定している宿泊施設ではより滞在時間が長くなりますので、それぞれの土地の特性を活かした過ごし方や、マインドフルネスやヨガなどのアクティヴィティなども含まれてくると思います。そしてわれわれがこのブランドを通して提供していくのは単なるサービスではなく、人や場所に合わせたオーダーメイドのウェルネスプログラムを提供する‟オートクチュール型の体験“であり、世界的なウェルネストレンドに応えるクオリティ、そしてプログラムでありたいと考えています。そのためには常に軸となっているテーマに原点回帰し、現代に即した持続可能な形とは何か? といった点を見つめ、ブラッシュアップしていくことが大切だと考えていますし、さまざまなプロフェッショナルとの出会いにフレキシブルなブランドでいたいと考えています」。
井上氏が時代を創り出す感性は、‟野生的ともいえる直観力“に長けている。また、「SOHO HOUSE」、「JAPAN HOUSE」など、欧州での施設運営を通し、世界のトップリーダーとの交流から培ってきた知見も深い。その井上氏が新たなライフスタイルとして提唱する‟THE HUNDRED”という生き方が今後どのように展開していくのか? とても楽しみだ。
※現在、インドおよびスリランカ、ネパールでは正式な医療行為として認めらているが、日本では医療行為としては認められていない。
「THE HUNDRED ロンジェビティハウス」
https://thehundred.jp/





