ホテル不動産投資家による協会HOFTELは、さまざまなインターナショナルオペレーターなどが運営するホテルを所有する投資家の協会として2005年に設立された世界有数の組織だ。
そのHOFTELが今年11月17日から18日にかけて東京のヒルトン東京お台場において、日本および北東アジア地域のホテル投資家に向けたイベントJHS 2025を開催する。
デスティネーションだけでなく投資市場として高い注目を浴びている日本においてJHS 2025を開催する狙いについて、HOFTELの会長兼CEOであるアリソン・サイモン氏に聞いた。

アリソン・サイモン氏
―世界ではさまざまなホテル投資家向けイベントが開催されています。その中でHOFTELのイベントは他とどう違うのですか?
サイモン氏(以下同) JHS2025とほかのホテル投資家向けのイベントの違いは、主催者が商業メディアやカンファレンス企業ではなく、ホスピタリティ不動産投資家のグローバルな会員制ネットワークであるHOFTEL(www.hoftel.com)であることです。
私たちは商業的でなく高品質なコンテンツに注力し、参加者の大半がホテル業界のオーナーやオーナー経営者であることに重点を置いています。
また、クオリティにフォーカスをしておりますのでイベント規模も大きくすることを目指していません。通常220~350名の参加者は業界の上位役職者層であり、参加者間の交流が非常に有意義であることも特徴です。登壇者やディスカッションリーダーが全体の35~40%を占めるため、大規模カンファレンスでは稀な強い一体感とコミュニティ意識が生まれます。
もちろん、主要グローバルホテル運営会社・フランチャイズ企業や業界トップアドバイザーからの講演者・スポンサーも参加していますが、JHSが真に投資会議であることから、製品企業(革新的技術を提供する企業を除く)をスポンサーとして迎えることはありません。実際、全てのセッションはホテル不動産投資家が抱える疑問に答える形で設計されています。
―今回、HOFTELのイベントを日本で開催する意義・目的について教えて下さい。
ホテルおよびホテル投資の成長が著しい日本においてオーナー主導のホテル業界カンファレンスは長年開催されておらず、今こそ開催すべき時と考えたためです。日本の不動産開発業者と国際投資家の双方からより深く関与したいという強い関心が高まっています。また、最近はブランドレジデンス、サービスアパートメント、コリビングといった新たな分野も登場しており、これらは不動産投資関係者にとって興味関心の高いテーマである一方でリスクなどについても学ぶべき必要があるでしょう。さらに、人気観光地ではオーバーツーリズムなどが課題となる中、新たな地域開発の可能性について議論する機会も生まれています。
JHS 2025では日本語セッションも一部設けるほか、メイン会場の全セッションで同時通訳を提供しますので、あらゆる参加者にとって有益な機会となるでしょう。
また、この市場では主要プレイヤー同士の定期的な交流が不足している現状を認識しており、国内外の企業リーダーが集う専門会議を開催することで、より透明性が高く双方向的なホテル業界の構築に貢献できればと考えています。
実際、世界の他の地域ではHOFTELのイベントでアイデアを得たオーナーが大きな利益を得ており、日本でも同様の効果を期待しています。
―今回のJHS 2025の想定の規模について教えて下さい。
初年度となる今回は175~225名の参加を見込んでおり、将来的には300~350名程度に安定化することを目指しています。そのうち85~95名の参加者がパネルディスカッションのパネリストやラウンドテーブルの参加者です。
詳細はJHS 2025をご覧いただければと思いますが、既に非常に高水準なスピーカー陣が揃っています。
―世界の投資家は日本のホテル市場をどう見てますか?
投資家は日本のホテル市場の潜在力に引き続き高い関心を示しています。コロナ禍以降の実績は極めて良好で、特にラグジュアリーセグメントが顕著ですが、平均客室単価の上昇は特筆すべきものがあります。一方で低金利のため借入コストは世界基準で比較的低水準を維持しており、これも投資家の興味を後押ししています。
日本はアジアの多くの市場で不足している明確な法規制環境が整備されており、開発業者と機関投資家の双方が取引を行う流動性の高い市場が形成されています。都市部、ビーチ、山岳地帯など多様な体験、優れた食文化、円滑な移動手段、個人の安全性が組み合わさり、これは日本が長期的に人気の目的地であり続けることを示唆していると言えるでしょう。
現在、新規開発の高コストが供給を抑制しているため、既存ホテルの業績は引き続き上昇すると見ています。一方、グローバルオペレーターはそこに参入すべく一例ではコレクションブランドなど新たな運営手法を導入し、国内ブランドに代わる選択肢を提供しています。そして、そうした増え続ける国際的な需要を獲得するためにそうした選択肢を日本のホテルオーナーが模索していることは明らかです。
このように多くの動きがある日本の市場において、ほとんどの投資家は興味深い視点を見出すことができる機会となるでしょう。大規模な高級ホテルの購入、アパートやオフィスをよりニッチな商品への転換、新ブランドの構築、新たなリゾート地の創出など、これら全てがJHISで議論される予定です。
JHS 2025
https://j-his.com/