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第12 回 本当のアレルギー対応を識る――意外にも不完全な現状に喝! 

第12 回 食物アレルギー配慮食品に挑戦し続ける石井食品㈱インタビュー

【週刊ホテルレストラン2016年06月10日号】
2016年06月10日(金)
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業界内でも先駆けとなる表示の工夫
 
 2000 年から始まったアレルゲン表示、石井食品㈱では表示が始まった当初から工夫を重ねてきました。その象徴的な工夫の一つに、今では当たり前に見かけるようになった「図柄を用いた表示」があります。石井食品㈱では、この図柄を用いた表示を2002 年から行なっており、食品業界の先駆け的存在として行なってきました。この表示を行なうことになったきっかけは、食物アレルギーと生活する人にとって、原材料表示の一つ一つを読み込んでいくことが大変であるということに気づき、日々の苦労を少しでも軽減し、より分かりやすく、より選択しやすいようにしようという姿勢から生まれています。さらに、図柄にどどまることはなく「大豆そのものは食べられないが、しょうゆ由来の大豆は食べられる」「パン粉の小麦は食べられないが、しょうゆ由来の小麦は食べられる」などの声に応えるため、表示の下には由来原材料まで記載しているのです。
 
 
主力商品から卵、乳を抜く決断
 
 無添加調理、原材料履歴の公開、アレルゲン表示の工夫に取り組む中、2006 年には主力商品であるミートボール、ハンバーグの「卵、乳不使用」に挑戦します。アレルゲン表示が社会に浸透し、食物アレルギーと日々生活する家族の実態が分かってくるにつれ、当時、原因食品として多かった「卵、乳」を不使用にすることで、より多くの子どもたちが食物アレルギーの有無に限らず同じものを食べてもらえるのではないかという石井食品の思いから始まりました。しかし、このミートボール、ハンバーグの卵、乳不使用の取り組みにはさまざまな困難があったそうです。当時、一番安い原料であったパン粉には脱脂粉乳が使用されていました。それを、脱脂粉乳を使わず、シンプルな原料で作るパン粉に切り替えたことで、一番安い原料であったパン粉が、最も高い原料になってしまったそうです。原料の変更により、おいしくない商品ができてしまっては意味がなく、そして、価格が上がってしまっても意味がないため、工夫を重ねました。さらに、立ちはだかった壁はこれだけではありません。そもそも、製造ラインでは卵、乳を使用した商品を作っていたため、卵、乳不使用に切り替えるタイミングで工場の徹底的な洗浄が必要でした。その洗浄作業は工場のラインをすべてを止め、数日の徹夜作業となったそうです。
 
東日本大震災をきっかけに
食物アレルギー配慮専用施設を増床
 
 2012 年7 月、特定原材料7 品目不使用食物アレルギー配慮商品を専門に製造する専用施設を京丹波工場に増床しました。きっかけは、東日本大震災です。
 
 被災地での実体験を聞き、食物アレルギーの人たちから「食べるものに困った」「支給されたおにぎりが食べられなかった」などの声を受け、食物アレルギー物質 特定原材料7 品目不使用の商品作りに取り組みました。この食物アレルギー配慮施設は、厳格な管理を必要とし、水、人、空気、原材料の移動にまで配慮されて作られています。例えば、複数に分けられた厨房は各区画で完結するようになっており、制服や調理器具も区画の外部へ持ち出しができないように工夫されています。
 
社員教育と日々のチェック
 
 どんなに設備を整えたとしても人による対応ミスは起こりうるもの。石井食品の考えられるリスクを最大限排除した食物アレルギー配慮施設においても、人による小さな行為が大きなリスクになることがあります。例えば、製造途中で必要な機材が製造区域にない場合、隣の厨房から機材を持ってきて、使用してしまうなどです。この人によるルール外の対応をなくすために厨房ごとに色を決め、作業服やエプロン、備品などを色分けし見える管理を行なっています。そして、さらに定期的な社員研修と日々のチェックです。ダメなものはダメであると明確に表現すること。そして、それを日々伝え続けること。例えベテランであっても、手を抜いてしまいそうになることがあるといいます。そういうときも伝え続けることが重要であり、これは、食物アレルギー対応に取り組む上での永遠のテーマであると話してくれました。そして何より、この厳格なルールのもと、社会に必要とされる商品を製造し続けられるのは、食物アレルギーと生きる人の生の声に正面から向き合い、食品メーカーとしての責務を果たすために努力を続け、そして、日々工夫と改善を続けているからだと、今回のインタビューでは教えていただきました。

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