小規模旅館の経営者を育てるというよりも女将塾からノウハウを学び取り、吸収してもらいたい
----女将塾は今後のブランド展開をどのように進めていくのでしょうか。
女将塾では小規模の温泉旅館をさらに増やしていき、「OnYadoグループ」としてブランド化して展開するビジョンを描いています。「OnYadoブランド」は、和風の“ザ・旅館”といったイメージでブランディングしていこうと考えています。そして『「OnYadoグループ」の中にある宿泊特化型ブランドが「お宿 Onn」である』という位置付けになっていくことになると思います。
「OnYadoグループ」のラインアップとして新たなブランドを生み出していく可能性についても、将来的なビジョンとして想定しています。大衆的な旅館のブランドと少し高単価なブランドに分けて訴求していくといった方向性になるのかもしれません。さらに、「女将塾グループ」として会員制度を導入するステージにも踏み込んでいきたいと考えています。
----ホテルの所有会社と運営会社との信頼関係を築くためにポイントとなるのはどんなことでしょうか。
まずは固定家賃にするか変動家賃にするのかについては重要なポイントになっていて、コロナ禍によって固定家賃を選択する運営会社は少なくなってきています。
運営が始まると一番のポイントとなるのは設備の不具合です。設備の修繕が必要になった場合に、どちらがその費用を負担するのかについて最初に明確にしておくことが重要です。
たとえばエアコンが故障した場合は修繕費用の何%を所有会社が、何%を運営会社が負担する。償却期間が長いボイラーやエレベーターの償却資産修繕費用については全額所有会社に持っていただくといった取り決めをしっかりと交わしておかなければなりません。
基本的な修繕区分表のフォーマットは、女将塾が用意しています。最初に明確な数字を決めておかないと、後々の信頼関係にひびが入ってしまう可能性がありますから、修繕に関しては揉め事に発展しないように慎重に進めておく必要があります。
----小規模旅館の経営者を育成していく考えは持っていますか。
育てるというよりも、女将塾の良い所をどんどん吸収してもらいたいと思っています。たとえば旅館の経営者の息子さん、娘さんが女将塾で仕事をして、5年後、10年後に実家に帰ったとき、女将塾のノウハウを活かして経営してもらえればと考えているのです。あるいは、実家の旅館と女将塾のアライアンスを結ぶ形で展開するスタイルも可能性があると思います。