日本は小額投資で大きなリターンを得られる魅力的な不動産投資市場
──不動産投資会社としてのアクス・マネジメント・パートナーズの強みを教えてください。
アクス・マネジメント・パートナーズは、日本およびアジア地域の不動産を対象としたマルチアセットクラスの不動産投資会社です。私たちの強みは、特にホスピタリティ資産における付加価値投資にあり、例えば既存のホテルを再ポジショニングやリブランディングする戦略を採用することで、資産価値を最大化し、新たな市場やターゲット顧客を満足させることにあります。
私のキャリアを通じて、投資サイクル全体にわたる深い経験を積んできました。資金調達のためのファイナンシャル・ストラクチャリングから、設計および建築施工、プロジェクト管理、運営に至るまで、プロセス全体に付加価値を提供し、約束されたリターンが確実に実現されるよう取り組んできました。バンク・オブ・アメリカ・メリルリンチの上級幹部として、アジアのホテルおよびゲーミング事業全般に加え、その他の不動産セクターを統括し、総額500億ドル(7.5兆円)を超える金融取引を成功裏に構築・実行し、企業およびその株主に大きな価値を提供しました。その後、東京証券取引所に上場する不動産デベロッパーおよびホスピタリティ企業のCEOとして、ホスピタリティ業界の開発および運営に携わり、資産取得、建設、運営における深い専門知識を獲得しました。
業界に関する深い知識により、特別な投資機会を見極め、創造的な戦略を適用して成功を収めることが可能です。今年大阪にオープンした「ガーナー・バイ・IHG」ホテル(全500室以上)は、ビジネスホテルからライフスタイルホテルへとリモデルされ、ミッドスケールホテルの新たなベンチマークを確立しました。
──シンクタンクのリポートを見ると、日本はキャッシュ・オン・キャッシュ・リターン(自己資本配当率)が他国よりも優位な状況にあり、投資家にとって魅力的な不動産投資市場として評価されています。
日本の不動産市場は注目すべき利点があるというのがリポートの評価で、私も正当な評価だと思います。あらゆる投資に対する私のアプローチは基本的な評価を元にしています。戦略的に活用されるときに収益を高める借入投資がありますが、日本は低金利環境で大きな利益を得られると言われています。ほかの多くの国に対して資金調達コストはかなり高いといえますが、手頃な価格帯の時には日本の借入はより強力なリターンをもたらします。この構造的に有利な日本の立場は少額の投資資金で大きなリターンを期待できるレバレッジを活用する投資家にとって魅力的な選択肢となっています。
また、キャッシュ・オン・キャッシュ・リターンは資産の特定の属性に依存します。その所得は潜在的なリスクがありますが、日本は堅調な国内旅行と増加するインバウンドがありロケーションの優位さで投資家の信頼を高めています。特に都市部の魅力的なエリアのホテルは繁栄をもたらす可能性があります。
──日本では不動産投資の中でもホテル投資が注目されています。特に海外投資家も増えています。その理由をどのように分析していますか。
投資対象の事業を評価する際、私は基本から始めます。ホテルに関しては、観光市場の規模が視座となります。日本では国内旅行が堅調で、インバウンド観光も急速に増加し、2024 年にはパンデミック以前を大きく超える安定した市場規模に達しています。海外を含む投資家は、この確固たる観光市場の成長に注目しています。もちろん、海外投資家の多くは自身も観光地として日本を楽しみ、それがこの市場への投資に安心感を与える一因となっています。
また、現在の世界経済の状況も考慮する必要があります。不動産投資は、国際的な投資の価値や資産を比較衡量し、跨境での資産配分を管理するものです。資金を国内外の株式、債券、不動産などにどのような割合で投資するかを決めるアセットアロケーションを重視します。今日の世界的な高金利環境に比べ、日本の低金利は借入コストの低さから投資先として魅力的です。そして最後に、私たちは日本の安定した成熟した法制度を信頼しています。