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ホテルデータファイル 月刊ホテレス

客室販売単価の上昇により売上は前年月と同水準で着地、月刊ホテレス・ホテル客室稼働率調査25年7月速報

2025年09月02日(火)
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 小誌・月刊ホテレス独自調査「全国ホテル客室稼働率」の2025年7月結果がこのほどまとまった。今回、全国87ホテルの平均客室稼働率は76.5%(前年同月79.0%)、ADRは14,880円(同14,281円、4.2ポイント増)、RevPARは11,383円(同11,282円、0.9ポイント増)となった。
 引き続き訪日外客数において7月時は同月過去最高の343万7000人と、インバウンド需要の恩恵が大きいものの、大災害デマの影響がエリアによっては大きく響くこととなった。大阪エリアでは万博の追い風もあり、RevPARで26.0ポイント増と増加幅は4~7月間と比べてゆるやかに転じているものの、単価重視の戦略が奏功することとなった。
 各ホテルからは「日本での地震のデマ情報によりキャンセルも多かったが7月5日以降は戻ってきている」、「去年は大型のコンサートや学会があり高単価で販売できたが今年はイベントが少なかった」、「引き続き好調なFITに加え、インセンティブ団体あり。月末の台風も大きなマイナスとはならず」などのコメントが寄せられた。
 
 当月はADRの伸長によりRevPARでは前年月と同水準で推移したが、アフターコロナに突入してからはADR重視の戦略が特に顕著になっている。その背景には人材不足、物価高、需給バランスなどさまざまな要因があるが、日本のADRの水準は依然としてグローバルスタンダードには追いついていないのが現状だ。
 昨年から折に触れて客室販売単価上昇の話題がメディアで取り上げられているが、諸外国では利益追求のため極端に販売単価が上昇するケースもある。例えば、航空会社にてストライキが発生した際、空港近隣の宿泊施設の販売単価が3~4倍に跳ね上がったり、11月にブラジルで開催されるCOP30の期間中は平時の数十倍の価格と、日本では到底考えられない状況にある。
 半面、国内では台風のときや先日のカムチャッカ半島での地震に伴う電車運休の際などもそうであるが、有事の際に宿泊料金が大きく上がることはなく、日本人的美意識に寄り添ったホテル側の気遣いであることが見て取れる。
 諸外国と比べてチップ制が認められていない日本では、ホテルマンの給与水準はサービス業のなかでも低く、ホテル業界で働く魅力を高めるためにも給与水準の向上、そのためのさらなる販売単価の上昇が不可欠になっている。
 近況、ダイワロイネットホテルズが全正社員の月例給与を改定し、初任給は全国社員31万円への改定、年収ベースでは約9%増を目指すなど、人材確保のため大幅な改定に踏み込むホテルチェーンも出てきた。
 全産業のなかでもホテル業界が働き手にとって選ばれる業種になるためにも、自社ブランドを支える土台である「人」に対する投資への柔軟さが、今こそ求められることであろう。

 
関連記事「ダイワロイネットホテルズが給与水準を改定し年収約9%増を目指す、初任給は全国社員31万円・地域限定社員27万8500円に」
 https://www.hoteresonline.com/articles/14311
 
〈用語解説〉
OCC(Occupancy Ratio):客室稼働率
●ADR(Average Daily Rate):1日1室当たりの客室平均単価
RevPAR(Revenue Per Available Room):1日1室当たりの客室売上高
RevPARは客室販売における最重要指標、RevPAROCC×ADRで算出
(例:客室稼働率50%×ADR 20,000円=RevPAR 10,000円)
 
〈調査区分〉
北海道、東北、北関東、東京フルサービス型、東京宿泊主体型、南関東、甲信越・北陸、東海、近畿(京都・大阪含む)、京都、大阪、中四国、九州、沖縄の全14エリア
 
〈算出条件〉
●今回の数値は小誌・稼働率調査において「該当月および前年同月」の「客室稼働率およびADR」の計4項目すべて回答のあるホテルのみを用いて算出。そのため、開業1年未満のホテル、前年同月に休館したホテルなどは含まれず。
 
〈備考〉
小誌「月刊ホテレス」2025年9月号では連載「全国都市別ホテル客室稼働率」にて、25年6月の速報値(計131ホテルの都市別平均値)を掲載。
 
―――
文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp

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