サマーホール蒸留所が進める“ ボンベイレシピ” をもとにしたジンづくり。樽熟成によるジンのトライアルや、古い消防車を使ったラッピングカーなど個性が光る
エディンバラ市内で150 年ぶりのジン蒸留所は、スパイス香るボンベイレシピ
海のエコリーダー、欧州屈指の海産物の産地として、サーモンやサバ、ラングスティーヌなどを取材した2018 年のスコットランド。英国やスコットランドの食事情は、ほかの産業同様に近代化している。この行程で立ち寄ったのが、エディンバラで「PICKERING’S GIN」(ピッカリンジン)を生産するサマーホール蒸留所だ。
英国では、長らく禁じられていた1800ℓ以下の蒸留器によるジン製造が2009 年に解禁。少量生産が可能となり続々とジン蒸留所が現れた。こうした動きの中で13 年に創業したこの蒸留所は、スコットランドの首都エディンバラに150 年ぶりにできたもの。獣医学を教えていた大学の跡地で、小さなアトリエやギャラリー、劇場が入居する中にできた小さな蒸留所だ。
サマーホール蒸留所で造るジンは、インド・ムンバイのマウントメアリーから1947 年に伝わった“ボンベイレシピ”に基づいている。ジュニパーベリー、コリアンダー、クローブ、アニス、フェンネル、カルダモン、レモン、ライム、シナモンを用いて、500ℓの銅製の蒸留器で精製する。このレシピをベースにした「PICKERING’S 1947」や、57 度の「NavalStrength Gin」のほかにスロージンやグレープフルーツ風味のジンリキュール、スコットランド各地のウイスキー樽による熟成ジンなども生産しており、17年の生産量は全部で25 万本。オーダーメイドによるジン造りも受注しており、エディンバラのホテルにオリジナルのジンを提供。日本限定モデルも提案している。現在は17 カ国に輸出しており、中国では「Seafood Pickering’s Bar」を営業している。