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ポリマスの言葉 〜宿泊業経験ゼロのとある社長がホテル経営の極意を手にいれてしまう件〜

ポリマスの言葉 〜宿泊業経験ゼロのとある社長がホテル経営の極意を手にいれてしまう件〜 第1回

【月刊HOTERES 2023年11月号】
2023年12月08日(金)
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今まで以上にリピーターを大事にすれば彼らが新しいお客さまを連れてきてくれる

内山 CRMについてはより深く学ばなければと思いますが、デジタルの活用という意味では、たしかにホテル業界は遅れているのかもしれないと思うことはあります。

甲斐 すべての業界がこれまで“人通り ”で商売してきた気がしています。人口が増えればもっと売れるから自動車を製造する、目の前の道を通る人の数が増えると物が売れるから小売店を開く。ところがそのやり方が通用しなくなった時代に入り、物が売れなくなってきた業界からデジタルの採用を始めているという流れだと思うのです。

内山 それは一理ありますね。今ホテル業界がそちらに向かい始めているのは特別なことではなく、自然な成り行きとしてデジタル導入の方向へと入っていかざるを得なくなったということでしょうから。

甲斐 実際に私たちが別業界の顧客、特に小売業のお客さまから受ける相談は「昔はずっとお客の数が増えていったけれども、今はそうはいかなくなって困っている」という内容が中心です。これまでは新規のお客さまを獲得することにお金を投じてきたけれども、よく見てみるとずっと付き合ってくれているお客さまが一番大事であることに気づいて、今いる既存のお客さまと長く付き合っていく方法を重視した動きが強まっています。

内山 ホテル業界で言えばリピートゲストに手厚くするということになるのでしょうが、同じようなことが他の業界でも発生していると。

甲斐 たとえば既存のお客さまのことをもっと知るために、デジタルを補完的に使って連絡手段をより丁寧なものにする手法を編み出したり、人では憶えきれない量の記録を積み重ねて、次の世代につなげていくための活動を推進する。平たく言えばそれこそが CRMであるという気がします。

 ホテル業界ではこれまで、OTAが “怒涛の人通り ”で商売してきましたが、そのビジネスモデルが崩れ始めたときにどうすればいいのかという話が今出てきているのだと思います。他の業界と同じように、ホテル業界も本当のお客さまは一部のリピーターであり、その方々を大事にすることで彼らが新しいお客さまを連れてきてくれていたことに気づいたということでしょう。

内山 私たち外資系グローバルホテルブランドのオペレーターは以前からデジタルプラットフォームを導入していて、それなりに対応できていると思いがちですが、実際にはフル活用できていなかったと感じる場面もあります。

甲斐 個人的には、よく来てくれるお客さまに何らかの情報を送っておけば、ある程度の関係性が維持できる時代は終わったと見ています。今の時代のお客さまは消費できる商品が並んでいるだけでは満足できず、「あなたのことを大切にしています」というメッセージを明確に伝えなければ関係が維持できなくなっていると思います。 従来のように多数者と一気にコミュニケーションを図るやり方ではなく、仮に1万人のお客さまがいたら、コアな 1000人に対して1人1人丁寧に声掛けをするといったアプローチが求められているのではないでしょうか。

内山 CRMやデジタルの活用と聞くと「人手が削減できる」といった文脈で捉えられがちですが、実はそうではないですよね。デジタルツールを使いながら、むしろ人の力によって情熱や手間を掛けていく必要があるのは実感しています。そして今、ホテル業界は人材確保が難しくなっています。コロナ禍によって人手不足に拍車がかかり、ホテル業界から働く人が離れてしまっているのが現状です。ただコロナ禍が明けた今、これからはホテル業界に興味を持ってくださる若い人たちが増えて、明るい兆しが見えてくると信じています。

 

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