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第23 回 Wプロフェッショナルズ「求められる人材を探る」 

第23 回  遠山詳胡子 氏 × 福永有利子 氏

【月刊HOTERES 2016年03月号】
2016年03月11日(金)
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福永 徹底していますね。厳しい中にも遠山先生の愛情を感じることで、胸襟を開いているのですね。私も年に1回、短期間で学生たちに教える機会があるのですが、ある時、学校側から“先生、余り厳しくしないでくださいね”“授業中に態度が悪くても途中退出させるようなことはしないでください”と言われました。途中退出させると授業料を払っている親からクレームの連絡が入るからという理由でした。そう言われてから、授業の邪魔をしない限り、例え授業中に寝ていたとしても退出させることなくそのままにしていても仕方がないと思うとともに、自身の教え方を変えてみようと思うきっかけになりました。
 
遠山 教えることはとてもむずかしいことです。一方的に自分の思いや考え、ノウハウを伝えるのではなく、自分で考えて答えを見つけさせることが、今の世代には欠かせないことです。そこで個人が目標を設定して伸び伸びと力を発揮できる環境の整備や、チームとしてメンバーが意思を共有してチーム編成を明らかにする必要性を感じ、ICC(国際コーチング連盟)認定国際コーチやBCC 認定ファシリテータなどの資格を取得しました。その前提として、サンタフェNLP(神経言語プログラミング)も学びました。つまり、教えることの限界を知る中で、相手が新たな道を切り出していくツールが必要であると判断し、資格取得を決意したのです。
 
福永 それは素晴らしいことですね。教える側もさらに学ぶ姿勢が必要です。
 
遠山 もちろん、理論やノウハウ以前に人間関係が必要です。その上で“あなたはどう思う?”という問いを繰り返す中で、自分自身で問題点や解決策を見出して、行動を起こすようになっていきます。自分が考えなくても親や学校が何でもやってくれて育った世代ですから、まずは自分で考えることができるようにするために、私自身がリードの仕方を学んだのです。
 
福永 おっしゃる通りで教えてくれるまでジッと待っているプランナーも多くいます。また夢と現実のギャップにすぐに心が折れてしまうプランナーも多く、年々、離職率が高まっています。
 
遠山 私はよく学生たちに“世の中は理不尽なことばかりであり、社会はエコヒイキの世界”であることを言います。どんなにがんばってもエコヒイキで評価は決まることが少なくありません。評価する上司にとって好ましい人間なのかということが、評価を左右するからです。その覚悟を持って社会に出て行かなければすぐにハートが折れてしまします。今の若者の多くは根拠のない妙な自信を持っていて、できると思っている自分にまかせてもらえないことに不満を抱いたりします。
 
福永 新入社員においては、まずは社会人としてあいさつができ、素直に聞き実行することが上司との人間関係を作る上で大切なことです。ところが数カ月もすると愚痴や不満の声が聞こえるようになります。まだ不平不満をもらしている内は良いのですが、性格的に心を開けない、自己発信ができない人は不満がたまりストレスとなり、体調を崩してしまうケースも増えています。
 
遠山 どんなに役に立つ講義や研修であっても、心がマイナス状態だと逆効果になります。まずは心をゼロの状態に戻さないと、どんな助言もスキルもプラスに働きません。悩みや不満を聞くプロが必要となります。私自身、以前は自分の過去経験や人生経験の中でしか応えることができませんでしたが、それはとても危険だと考えて、2 年かけて一般社団法人メンタルヘルス協会認定 メンタルヘルス・カウンセラーの資格を取得しました。今は“カウンセラーとして聞かせて”とか、“メンタルヘルスの専門家として答えるね”という具合にプロの立場で接することができるので、相手も信頼して向き合ってくれます。これからは若者に限らず、精神的に病んでしまう管理職、経営者も増えていくことが予測されている中、「コンプライアンス」「モチベーションの維持・向上」「リスクマネジメント」「企業の社会的責任」を意義とするメンタルヘルスは学ぶべきだと思います。社内で一人うつ病と診断されたら約1000 万円の損害になります。経営におけるリスク回避のためにも、自分でできる「セルフケア」、部署単位の「ラインケア」、そして会社レベルの「ラインケア」を学び、サービス現場に対する理解と理論に基づいたカウンセリングができる人材を持つことは、健全な企業環境作りと企業の発展には欠かせないことです。教育も指導も常にプロの目線で、近づきすぎることなく一線を画して、守り育てていくことが大切です。これからも社会に出る前の学生たちに必要なことを、厳しさと愛情を持ちながら示していきたいと思います。
 
福永 遠山先生の常に前向きなチャレンジ精神と有言実行の取り組み、とても感銘を受けました。また、教育者としてのプロ意識の中に何より愛情を大切にされておられることがお話しをお伺いしていて、一番伝わってきました。私もまだまた多くのことを学び、伝えていきます。本日はありがとうございました。

㈱MCS 代表取締役/ 東洋大学 国際地域学部国際
観光学科 非常勤講師/ 東洋大学 大学院国際地域学
研究科 国際観光学専攻博士前期課程
遠山詳胡子
トータルイメージコンサルタントとしてブライダルに関わる中、2006 年にはBIA(現・公益社団法人日本ブライダル文化振興協会)の初代ブライダルマスターになる。1994 年からカラースクールや専門学校、短大の講師を務め、現在は大学で教壇に立つ傍ら、全国のサービス関連団体やホテル・ブライダル施設などでの講演や研修も手掛けている。サービス現場の意識の変化に寄り添うために数々の資格を取得し、サービス実務に特化した新たな観点やスキルを研修や書物で紹介している。著書は、「ウェディング マジック」「プランナーズ マジック」「ブライダル・フェア マニュアル」「バンケットサービスマニュアル」「骨太サービスを創るメンタルマネジメント」など、多岐にわたる。

㈱フェイス
代表取締役
福永有利子
レストラン・ゲストハウスのウエディングプランナーから各現場の管理職としてマネジメントを担い、確実に業績を伸ばしてきた。2003 年にウエディングプランナー養成スクール講師をはじめ、06 年より大学にて非常勤講師として教壇に立ち、現在も教鞭を執っている。06 年堂島ホテル婚礼部長に就任、その後08 年同ホテル副総支配人に昇任。09 年には㈱フェイスを設立し、代表取締役に就任。現在は、ホテル・ゲストハウスを主に成約率向上を目的としたトレーニングや集客戦略立案・実践支援などのコンサルティングに加え、ウエディング全般にわたる支援を行なっている。著書・ウエディングプランナーじゃない、アカンのは上司や! 悩める管理職のアメムチ19 の育成術

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