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第二十八回 伝統は“守る”のではなく“創る”もの  第二十八回  スマイル ブリュー カンパニー 代表/日本酒スタイリスト 島田律子氏 × 清水清三郎商店㈱ 代表取締役 清水 慎一郎氏

小さな米粒に麹菌を命懸けで栽培する マイクロアグリカルチャーの論理を創りたい

【月刊HOTERES 2018年11月号】
2018年11月09日(金)
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右から、清水清三郎商店㈱ 代表取締役 清水 慎一郎氏、スマイル ブリュー カンパニー 代表/日本酒スタイリスト 島田律子氏

日本酒造組合中央会認証「日本酒スタイリスト」として精力的に活動を続けるタレントの島田律子氏が、日本の伝統文化、日本酒の魅力を深く伝えることで、海外からのお客さまをおもてなしするホテル、レストランの力を向上させるためのヒントをお届けしていく本連載。今回は2016 年の伊勢志摩サミットで乾杯酒に選ばれたことでも話題となった「作」をはじめ、三重県鈴鹿市の地酒造りに力を注ぐ清水清三郎商店株式会社の代表取締役、清水慎一郎氏にご登場いただいた。若き杜氏とともに地酒専門店を熱心にまわり自分たちの酒の魅力を伝えてきた行動力と、鈴鹿の地にまつわる日本酒造りの古い歴史を紐解く探究心によってブランド力を高めていった清水氏。オータパブリケイションズ代表取締役の太田進を交えた2回連続鼎談の第2回をお伝えする。

 
世界のワインリストにおける何%かを
日本酒が占めるようになるかもしれない
 
島田 2016 年に開催された伊勢志摩サミットの乾杯酒に「作」が使われたことで、状況は変わりましたか。
 
清水 確かにサミットを境に、一般の方々にも「作」を知っていただけるようになりました。
 
 ただ、日本酒マーケットを全体で見てみると、どうにも数量が伸びません。全アルコール飲料の販売数量に占める日本酒の割合は現在6.8%ほど、約7%で推移しています。その内、特定名称酒は約30%ですから、7×3で2.1%しかありません。アルコール飲料を飲む人が100 人いたら、2人しか特定名称酒を飲んでいる人がいないことになります。この数字がもっと増えていくことを期待しても、いつまで経っても増えていかないというのが現状です。
 
太田 かつてはほとんどゼロだった海外マーケットが伸びてきているのではないでしょうか。
 
清水 純米、純米大吟醸の系統の日本酒がようやく海外から注目を浴びてきて、世界の嗜好品としての路線が見えてきたかもしれませんが、全体で見ればまだまだです。
 
 以前は日本酒を世界に売り込む方法を私も考えていたのですが、最近は少し違った考え方をするようになってきました。たとえば2017 年にフランス・パリで日本酒コンクールのKuraMaster が新設されました。その趣旨として書かれていた文章の中に「ワイン文化の人たちに日本酒を飲ませようと思ったら、合理的な説明が必要」と書かれています。ワインに合わない食材でも日本酒には合うものが実はたくさんありますから、そこを強調してアピールしていくべきではないかという考え方です。
 
 私が共感しているKura Master の文句があって、「今後5年の間に、私たちが使うワインリストの10%は日本酒が占めるようになるだろう」というものです。シャブリを飲みながら生牡蠣を食べている人がいるとして、「それもいいかもしれませんが、この日本酒も試してみてください」と勧めてみる。「なるほど、これは合うね」となって日本酒の認知が広がる。こうした広げ方を合理的に考えることで、世界のワインリストにおける何%かを日本酒が占めるようになるかもしれないのです。実現したら本当にすごいことだと私は思います。そうした見方をする人たちが増えてきて、その方向性を追求できる環境が次第に整ってきていると感じます。

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