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酒のSP

時代は再び。ウイスキーはアイルランドから「Bord Bia Meet the Irish Spirits Suppliers Tokyo」

【週刊ホテルレストラン2019年04月19日号】
2019年04月19日(金)
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輸入量も増加。市場再構築の動き
 
 2015 年に発行した小誌別冊『酒のSP』で、ウイスキーテイスターの吉村宗之氏が「これからはアイリッシュに注目」と語っていたものが、より本格的な動きとなっている様子がある。アイルランド政府食糧庁(Bord Bia= ボードビア)は、同国のウイスキーやスピリッツに関するセミナーと商談会「Meet theIrish Spirits Suppliers Tokyo」を、八芳園(東京・白金台)で2 月27 日に開催した。
 
 ウイスキーの歴史上のルーツをたどればアイルランドにたどり着くのは、ウイスキーを学んだ者ならば誰もが知るところだ。スコットランド、米国、カナダ、日本と合わせて5 大ウイスキーと呼ばれる中で、近代における存在感は希薄だったのは現地も認めるところのようだ。1779 年には1228 カ所に上った免許登録蒸溜所の数が集約と減少をたどり、1990 年代には2 社、3 蒸留所にまで減少したところで日本における情報は止まっている様子もあった。
 しかし、日本でもアイリッシュウイスキー復権の動きを見逃すことはできない。近年の世界的なウイスキー人気とともに、アイリッシュウイスキーも輸入量を回復させつつあるのだ。
 

原産地呼称とクラフト化

財務省貿易統計より小誌作成。輸入量には2ℓ以上のウイスキー原酒も含むが、その輸入が再開したのは2014 年以降。2016 年は12%に及んだが、ほかの年は1 割に満たない、ボトルウイスキーでの輸入が多くを占める

 Bord Bia のドリンク部門マネージャー、デニス・マーフィー(DeniseMurphy)氏によると、アイルランドの食糧や飲料、園芸部門の総輸出額136 億ユーロのうち、酒類は9%の12 億ユーロに及び、これはEU では第2 位。ウイスキーの輸出量は世界4 位で、2012年には、蒸留所は26 カ所に増加した。酒類輸出のうちウイスキーは52% を占める6 億2300 万本。その陰に隠れているがスピリッツも急速な成長を見せている。ジンの蒸留所は2 カ所だった13 年から21カ所に増え、年間2 億本の生産量は欧州で8 位だ。酒類輸出額は今後10 年で2 倍に増えると予想されている。
 
 この背景には、スピリッツやビール、ワイン、カクテルをはじめあらゆる酒、飲料に共通する「クラフト化」に起因するものと、アイリッシュウイスキーとアイリッシュクリーム、さらにポーティン(Poitin)* まで地理的表示(GI =Geographical Indication)に制定されたことも大きいという。

伝統と個性が彩るアイリッシュスピリッツ。熟成とブレンドで市場を開く新興蒸留所

 この日の商談会に来日した五つの蒸留所とプレミアムミキサーはいずれも新興の個性豊かなものばかり。その一つ一つに目を向けながら、アイルランドのスピリッツ市場がどこに向かっているのかを読み込んでみたい。
 
「クロナキルティ蒸留所」はこの月に稼働し始めたばかりで、ウイスキー「クロナキルティ」は75%のグレーンと25%のモルトによる自社ブレンドのものをリリースしている一方、「ミンキージン」(Minke Gin)はホエー(乳清)を原料にしたジンで、その原料由来の独特の香りと味わいはほかに類を見ない。
 
「JJ CORRY」はアイルランドにおけるボンダー(ボトラーズ業者)で、19 世紀に繁栄したJJ コリーの名を復活させた。地域の蒸留所から樽を調達し、保税倉庫を所持。同社の「ザ・ゲール」は7年から26 年熟成の原酒をブレンド。「フリントリック」は三つの樽をブレンドしたシングルモルトで、13 年熟成以上のベスト賞「Irish Whisky Award」でベストアイリッシュシングルモルトウイスキーを受賞した。
 
 建設中の段階だが、ジェニファー・ニッカーソンCEO の父スチュアート氏は40 年以上にわたりグレンフェディックやバルヴェニーのマネージャーを務めてきたスペシャリスト。農家出身のジェニファーCEO の夫とともに、栽培と蒸留の両翼を担う。現行ボトルは購入した原酒を自社で熟成、地元の水で加水してボトリングしている。3 種類のウイスキーをリリースしているが、オリジナルブレンドのウイスキーも受注する。「フィールド トゥー ボトル」を標榜し、自社で大麦を生産するほか、ほかの蒸留所にも供給している。
 
「ザ・シェッド蒸留所」は101 年ぶりにできたコノート地区の蒸留所で、アイルランド北西部のファミリーカンパニー。ウイスキー「プルミエグランクリュ」を発売しているほか、ボタニカルに中国茶を用いた「ドラムシャンボー ガンパウダー アイリッシュジン」と「ソーセージ ツリー ピュア アイリッシュ ウオツカ」で35 カ国に展開。今後はアジア市場も視野に入れている。
 
 このほか、「ナ・クアナ」はウイスキーやクラフトビール、クリームリキュール「Merry’s」やサイダーを生産している。主力の「ウィスラー」ブランドは原酒を熟成して自社でブレンドしたもの。ウォルマートチャイナを最大顧客に、プライベートブランドの受注・生産力にも強みを持つ。また「ポーチャーズ」は低糖、健康志向のプレミアムミキサー。天然のフレーバーとボタニカルだけを使用し、数種類のトニックウオーターやジンジャーエールをPRした。
 

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