:アイアンと木を組み合わせたベルエポックを彷彿とさせるレトロなインテリアに、新旧さまざまな時代をエポックメイキングしてきたスターや映画のポスターが飾られている。そんなちょっとした非日常感と、ビストロならではの活気、アットホームな空気感がミックスされ、心地よさを感じるお客さまも多い
昨年オープンした「丸壱富士 渋谷道玄坂店」を皮切りに、新たなブランドでの開業が続いている際コーポレーション。同社は2025年2月、目黒・山手通り沿いに「ビストロ アポロン 目黒」をオープンした。
社名の“際=ボーダー”に象徴されるように、同社は料理や空間をボーダーレスにすることで、新しい業態の創生に取り組んできた。同店もその哲学を受け継ぎ、洋のテイストでさまざまな領域の料理を美味しく提供するビストロとして位置づけられ、池尻大橋にある「ビストロ アポロン TOKYO C.P」のスピリットを継承。もともと池尻店のキッチンで働いていたシェフの川上智敏氏からの希望もあり、彼と共に中島武氏が手掛けた店舗だ。
運がよければ、自らキッチンに立つ中島氏に会えることも。同店に限らず、開業時は特に自社の店舗でキッチンに立つことも少なくない
ちなみに同店ではカウンターにずらりと並ぶ料理を‟おばんざい“と呼んでいる。‟ビストロでおばんざい? “と思うところだが、純粋なビストロ料理だけでなく、和や中華の要素があるおつまみ類も提供することから‟おばんざい“にしたとのこと。‟美味しい”を第一義に、ジャンルの‟ボーダー”に縛られることなく、また多種多様なジャンルの店舗を持つ同社だからこそ提供できるメニュー展開であり、呼び名だ。
また、懇意にしているハンター達から一頭買いしているという、猪肉や天然鹿肉をはじめとした肉料理も同店を訪れる魅力だ。これらはグリルなどに用いられるだけでなく、‟おばんざい“にも用いられており、旬の食材と共に日々、‟その日の美味しい“が想定外なアプローチで味わえるのも同店を訪れる醍醐味だ。開業以来、満員御礼の日も多く、他所からの目的来店も多いが、既に地域住民や通勤・通学のひとびとのリピーターもできているという。
同社は、圧倒的な都会での展開に加え、目黒のように通過駅でありながらも地元駅でもあるエリアでの人気店作りも得意としている。そこに‟中島イズム”が息づいていることは自明の理だが、アポロンブランドで言えば、池尻店の石川シェフや目黒店の川上シェフのように、圧倒的なカリスマである中島氏共に彼らが業態やメニュー開発を行なえる土壌があるからこそ、長きにわたり魅力的な店舗を数多く創生してきた理由があるように思う。加えていえば、アポロンのように、ブランドの軸は共有しつつもシェフにより異なる色合いのメニューを楽しめるという、料理人の個性を活かした個店的な色合いで展開されている店舗が多いのも特徴だ。
そんな企業風土に触れることも、同社の店舗を訪れる魅力だ。同店はもちろんだが、今後も同社が発表する新ブランドの店舗にはぜひ、足を運んでもらいたい。
「ビストロ アポロン 目黒」
https://kiwa-group.co.jp/bistro_apollon/








担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp