今回は群馬県の県庁所在地である前橋市を取り上げる。同市は江戸時代に前橋藩の城下町として発展し、近代では製紙業で栄えてきた歴史がある。群馬県は行政の中心地である前橋市一極集中の都市構造ではなく、高崎市の方で人口規模が大きくなっている。以下に前橋市のマーケットと群馬県の観光マーケットをみていこう。
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1.マーケットポテンシャル
前橋市は群馬県の行政・業務の中心を担っている中核市である。人口は33万1,771人(2023年1月1日現在)で、群馬県の人口のシェア17.2%を占めている。
その他の県内主要都市を見ると、高崎市が36 万9,314 人、シェア19.1%と前橋市よりも多い人口を有している。それに次いで太田市が22 万2,403人、伊勢崎市が21万2,128人、桐生市が10 万4,647人で続いており、この5 都市が県内における人口10 万人以上の都市となっている。県内の人口は前橋市、高崎市を中心とする多極構造になっている。(図表1)
過去5 年間の増加率(23年/ 18年)を見ると、前橋市は▲ 1.9%と減少トレンドになっている。その他の県内主要都市を見ると、全ての都市でマイナストレンドとなっているが、その中で拠点都市である伊勢崎市が▲ 0.4%、太田市が▲1.0%、高崎市が▲ 1.4%で比較的減少幅が小さくなっている。
前橋市の年齢構造を見ると、若年人口比率は16.5%、適齢期人口比率は19.3%で、若年人口比率、適齢期人口比率ともに全国値(16.7%、20.9%)をやや下回っている。その他の県内主要都市を見ると、若年人口比率は太田市が18.5%、伊勢崎市が18.4%、高崎市が17.4%、みどり市が17.3%で全国値を上回り、適齢期人口比率は伊勢崎市が21.9%、太田市が21.7%で全国値を上回っている。高齢者(65歳以上)人口比率を見ると、前橋市は30.8%であり、全国値(28.7%)を上回っている。県内主要都市では伊勢崎市と太田市が全国値を下回り、高崎市がほぼ全国値となっている。それ以外の都市は30%を超している高齢化が進展している状況だが、地方都市としては比較的高齢化が緩やかである。(図表2)
将来推計人口をみると前橋市はすでに減少フェーズに突入しており、2050年ごろには2015年ベースから80%程度になると推計されている。その他の県内主要都市も全て減少トレンドに突入しており、将来的に2015 年ベースの50 ~ 90%程度になると予測される。将来的にも前橋市と高崎市が県内で多い人口を有することは変わらない。上位都市に大きな変動はないが桐生市は減少ペースが大きく、館林市と同程度になっていく可能性がある。(図表3)
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