包括連携協定を経て、長野県産「信州 片丘メルロ 紫紺 2023」を商品化
2025 年2 月、東急と長野県は、県産品の販路や消費の拡大に取り組む包括連携協定を締結。長野駅前で営業する、ながの東急百貨店をハブとした「県産品の販路拡大及び消費拡大に関する取り組み」を推進し、地域の生産者と消費者をつなぎ、長野県産品の認知度向上と地域経済の活性化を図ると共に、個性豊かな地域社会の創造を目指す。その一環として、東急百貨店、ながの東急百貨店、東急ストア、東急ホテルズ& リゾーツは、長野県産のオリジナルワイン「信州 片丘メルロ 紫紺 2023」を発表。6月より東急グループの百貨店やスーパーマーケット、ホテルで販売・提供を開始した。


事の起こりは、2024年2月に開催された、東急百貨店、東急ストア、東急ホテルズ&リゾーツのソムリエの人材交流「ソムリエカンファレンス」に遡る。約30名のソムリエが参加したカンファレンスで、「グループのソムリエの力を集結させたオリジナルワインを作りたい」という声があがった。その思いを実現すべく、2024 年6 月、6人の代表者が長野県塩尻市のワイナリー「ドメーヌ コーセイ」を訪問する。それぞれの経験やテイスティングスキルを活かし、育成段階にある樽のワインを試飲し、事前に購入する「プリルーム・テイスティング」を実施。「50年に一度の出来」とも評される、2023 年産のメルロをアメリカンオークで熟成させた「信州片丘メルロ 紫紺 2023」を完成させた。
しかし、当初、各社のソムリエが選んだ樽は、それぞれ別のものだったという。
グループ内とはいえ、客層や利用シーンは異なる。ホテル内の多彩なレストランで提供するホテルでは、開けてすぐ楽しめるワイン、もしくは広い意味での料理に合うワインが喜ばれる。スーパーマーケットでは家庭の食卓でのワンシーンやリーズナブルさが重要視される。百貨店には特別な日に飲むワインが好まれるケースが多く、家庭で熟成を楽しむ人もいる。それぞれのシーンに通用するワインを吟味した結果、このメルロにたどり着いた。
各社の個性は、販促にも最大限に活用。グループの力を集結させ、長野県の魅力を発信する取り組みを継続していく。東急百貨店では、2023年より実施し、好評を得ている「ながのマルシェ」を2025年より年2 回開催。東急ストアでは、9月には高級志向型店舗“ プレッセ”4 店舗で「長野県フェア」を実施する。東急ホテルズ&リゾーツ運営企画グループの寉田安之氏は、今回のワインについて、「お客さまと対話しながら提供していきたい。信州の食材を使った料理はもちろん、フレンチの煮込み料理などとの相性も良いと思う」と自信をのぞかせる。
なお、オリジナルワインの第2 弾は、「多彩なテロワールが強みの長野県で、今回は冷涼な気候の高山村に着目した」(東急百貨店 フード統括室担当課長・青山秀夫氏)と、「信州たかやまワイナリー」に依頼。連携をさらに拡大し、第1 弾を超える人数のソムリエが「プリルーム・テイスティング」を行ない決定した、新たな長野県産オリジナルワインは、この秋、販売・提供をスタートする。
4社では、2025 年5 月に締結した東急と北海道の包括連携協定に基づき、次回は北海道産品の消費・認知度拡大を目指し、さまざまな取り組みを実施する予定だ。



