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第222 回 新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜

第222 回『ホテル価値の目『ホテルとレストラン』』

【週刊ホテルレストラン2016年06月10日号】
2016年06月10日(金)
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 ホテルが「ホテル」であるゆえんとは、おもてなしの気持ちやサービス哲学がハードウエアやサービスを通して顧客を取り巻く環境すべてとなって伝えられるところにあります。単に寝食するだけではなく、そのホテルのコンセプトに共感し、なんとも言えない居心地の良さを感じさせるような顧客を思う気持ちが、ハードウエアやソフトウエア、ヒューマンウエアを通して顧客に伝わることこそがホテルを特別な存在にしているのです。それら多くの要素が完璧にコーディネートされる場合には、そのようなホテル体験を通じて、その背後意図を感じ取ることができます。以前ご紹介しましたが、ホテルの人格について、ホテルの滞在時に人ではない「ホテル」に何らかの人格性を感じたことがあるか否かを調査したことがあります。インターネット調査では、200 人中43 人(21.5%)の利用者が人格を感じたことがあると答えています。「感じた人格が、具体的に「誰」に近いと思うか」という質問に対しては、多くの人が「フロントスタッフ」や「接したスタッフ」に近いと答えています。「人格を感じたホテルにまた行きたいか」という質問については、約88% の人が、「頻繁に行きたい」から「いつかまた行きたい」と答えています。また別の調査では、このようにホテルに人格を感じた際、併せて「客層の統一感」も感じ取ると、高い確率でその顧客はホテルに満足する傾向が見られました。
 
 このように、ホテルや旅館の顧客満足の鍵を握っているのは、まずは顧客と接するスタッフであり、それを包含し、客層を含めた全体の質感が重要な要素となっているようなのです。そしてこの「客層の統一感」については、ブランドコンセプトが明確なものであればある程強く客層を感じる傾向が見られました。
 
 さらに弊社の別の調査では、「人の気配を感じさせる認知上のメカニズム」を調べたものがあります。パソコン上でのコミュニケーション(チャットなど)で、どのようなやり取りがあると、相手方が機械による自動応答(ロボット)ではなく、実際の人であると感じるのかを調査したものです。相手がロボットや機械による自動応答ではなく、実際の人とのコミュニケーションであると感じるためには、その会話、つまり相手方とのコミュニケーションに、自身の「①関与度が高いこと(情報の必要性が高い)」×相手から「②自己主張があること(客観的データや事実に基づくアドバイスではなく、私はこれが良いと思う、あるいは好きだと答えてくる等)」×「③積極的な利他性が感じられること(より詳しく目的や予算等を確認してくる、つまりさらっとアドバイスして終わるのではなく、相手にとって負荷や手間が増えても、あえて追加質問をしてくる等)」という三つの要素がそろうことが人の気配につながっていました。レストランを利用し飲食するという「①高関与」環境下において、レストランから、ホテルやレストランのコンセプトに基づいた一貫したサービスという「②自己主張」があり、さらに顧客を配慮するスタッフの振る舞いに「③利他性」が感じられるようなレストラン空間があれば、その体験を通じてホテル全体の「人格」に大きな影響を与えている可能性があります。
 
 このように顧客がホテルに対して持つ印象を大きく左右する力がレストランにはあるとすれば、ホテル全体の質感やサービスレベルとレストランのレベルに整合性が求められるはずです。以下では平均ADR が約2 万1000 円、全国主要の22ホテルについて、レストランのサービスレベルを象徴する指標としてさまざまな代表的メニューの料金を取り上げ、各ホテルのADR 水準と象徴的メニューの料金帯(税・サ込み)との関係を調査した結果をご紹介したいと思います。まずコーヒー単価について、平均単価は約780 円程度でした。またホテルのADR 水準の上昇に応じてコーヒー単価の上昇はそれ程見られず、バラツキが大きく見られるという結果でした。生ビール単価では平均約900 円であり、コーヒーに比べると比較的両者間に相関性(ADR が上昇するとメニュー単価も上昇する傾向がやや見られる)が見られますが、それでも各ホテルの単価にはバラツキが見られます。朝食ビュッフェの平均単価は2600 円で、ビール単価と同程度のバラツキが見られました。
 
イタリアンコース(最安値)の平均単価は6250 円であり、両者間の相関性はあまり見られないという結果でした。中華コース(最安値)の平均単価は約6500 円であり、これも相関性はあまり見られませんでした。一方で、和食と鉄板焼きでは、ADR 水準とコースの最安値単価との間に比較的相関性が見られます。和食コース(最安値)の平均単価では約6400 円でした。鉄板焼きコース(最安値)の平均単価は約1 万1700 円であり、和食同様ある程度の相関性が見られるという結果でした。平均単価からどれほど各ホテルでバラツキが見られるかを見てみますと(標準偏差値を採用)、コーヒー単価および生ビールでは約± 170 円、朝食ビュッフェは約±500 円、和食コースで約± 2000 円、イタリアンコースで約±1000 円、中華コースで約± 1700 円、鉄板焼きコースで約±3000 円という結果でした。このように、客室単価とレストランの代表的なメニューとの関係を見ますと、明確な相関性はほとんど和食コースや鉄板焼きコースを除いて見られないという結果でした。上記の通りレストランがホテルの華となるためには、ホテルの質感やサービスレベルと整合性が取れている必要があるはずです。周辺競合ホテルの料金相場を確認しつつ適切で望ましいレストランのサービスレベルと、その結果である料金水準を模索する必要がありそうです。

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