ビジネスの多くの成功者が、年を重ねて思うことがある。「今の自分があるのは、あの時、あの出会いがあったからだ」と。日本人で初めて、スターウッドホテル＆リゾート日本・韓国・グアム地区社長に就任した平尾彰士氏。本連載を通して、平尾氏が経験したことをもとに、次世代の経営者や若いホテリエにメッセージを伝えていく。

〈プロフィール〉
平尾彰士（ひらお・あきお）
1940 年2 月6 日生まれ。67 年11 月、サンフランシスコ都ホテル副支配人就任。70 年6 月、東京にウェスティンホテルのセールス事務所設立。リージョナル・セールス・マネージャー就任。85 年9 月、ウェスティンホテル＆リゾート、アジア地区セールスオフィス副社長就任。2001 年1 月、スターウッドホテル＆リゾート、日本・韓国・グアム地区統括社長就任。06 年4 月、日本スターウッドホテル㈱会長就任。同12 月、同社定年退職。08 年4 月、立教大学観光学部特任教授。10 年3 月、立教大学退職。現在ヒラオアソシエイツ代表。

大変革の時代（1980 年代）前編
　1930 年に米国ホテル業界で最初のホテル運営会社を設立したウエスタンホテルは1980 年に50 周年を迎え、1981 年にはホテル会社名をウエスタン・インターナショナルからウエスティンホテルに変更。これにより新規ホテルを世界各地のマーケットで開発する際にウエスティンと地名を合わせたホテルが可能となり、例えばウエスティン東京、上海、バンコック、台北等その後の発展に大いに寄与した。1987年2 月ウエスティンの親会社がUAL.INC から名前をAllegis（アレジス）に変更し、3 月には何とアレジスがTWA（米航空会社）からヒルトンインターナショナル（HI）を買収したのである。いよいよ世界的なホテルチエーン構想が現実的になった。当時のウエスティンホテル会長マリカンがHI の会長も兼任することが決まり本格的なホテル統合計画がスタートした年であった。