


一般社団法人全日本ホテル連盟(本部・東京都千代田区)は2月16日、日本青年館ホテル(東京都新宿区)宴会場・イエローにて、「ホテル経営者セミナー2026」を開催した。
同セミナーは会員ホテルの価値向上を支援することを目的として開催するものであり、1998年からスタートし今回で28回目の開催となる。今回、「次世代に求められる“強い会社”の条件~組織を強くするのは、人の力か、仕組みか~」をテーマとし、これからの組織づくりのあり方を追求する場とした。
はじめに、同連盟 会長の清水 嗣能氏より「現在、当連盟は55周年目を迎え、会員ホテル数は1500軒になろうとしています。これまでどのようにこの組織が成長をしてきたか、そのポイントは4つあり、理念の構築、組織の構造、具体的に事業をどうやっていくのか、振り返り、と挙げられます。自分たちのホテルの存在意義について、自分たちのホテルがその地域になければならない存在となるべく、本日のセミナーは会員ホテルの価値向上に結び付いています」と挨拶。
第一部は志戸平温泉株式会社 代表取締役社長の久保田 剛平氏により、「戦略だけで組織は変わらない。人の大切さに気付いた学びと変革のプロセス」をテーマに登壇。花巻市にて「湯の杜 ホテル志戸平」と「游泉 志だて」の2ホテルを展開する同社が近年に手掛けた再生戦略について解説した。
同氏はKSF(成功のための必須要因)としてファンを増やすことを指針とし、ファン獲得のため自社が訴求するサービス属性を絞り、コンセプト実現のためにすべきことと止めることを決めること、提供するサービスを共創できる顧客に絞ることを追求。
その上で事業内容の見直しを図り、売上よりも利益重視の戦略にシフトし、それまでの団体客中心から個人客獲得へ転換し、ゲスト評価の向上に重きを置いた運営を手掛けることとした。新コンセプトを「日常から解放される渓流リゾートホテル」と定め、コンセプトを体現する施設改装も取り行った。
これらの施策が奏功し、昨今の年平均の直販率は「湯の杜 ホテル志戸平」は65%、「游泉 志だて」は40%と高い割合を占めている。同氏は会社理念のサイクルとして、従業員ハピネスの向上、サービス品質の向上、ゲスト満足度の向上、ゲストロイヤリティ向上、業績の向上、そして改めて従業員ハピネスの向上と循環することが要用とし締めくくった。
第二部は株式会社識学 代表取締役社長の安藤 広大氏が「組織の造り方と変え方」をテーマに登壇。数々の著書を手掛けている同氏は、人の意識構造に着目した独自のマネジメント理論である「識学」を展開。
「識学」とは行動する前の認識である意識構造で発生する誤解・錯覚を取り除くものであり、自動的に高い成果をつくりあげる組織になるためには姿勢のルール、組織図、週次会議、評価制度、競争環境の5つがポイントになると述べる。
姿勢のルールとは例として挨拶する、打刻する、ユニフォームを着用するといった、できる・できないが存在しない誰でも取り組むことができるもの。自社が定めた姿勢のルールに関し、社員が遵守することは管理者の最低限の責任であるとした。
組織図の在り方では役割・責任・権限を定めて明文化し、責任と権限を一致させること。週次会議では未来の約束が組み込まれているか、評価制度では成果に加えてマイナスの状況を含めた評価の明確化、競争環境を促進する試みがなされているかなどを挙げた。
ほかにも、社員が頑張らなくてはならない環境をつくりあげること、自社が社会から必要とされていることを社員が認識することが「識学」において重要視していることを発した。
第三部は「持続可能な企業経営に必要な要素とは」をテーマにパネルディスカッションを実施。久保田氏、安藤氏、同連盟 研修委員会 委員長の金子 祐子氏がパネリストとして登壇し、ファシリテーターは宿屋塾 塾長の近藤 寛和氏が担った。
金子氏は株式会社NAVIの代表取締役社長を務めており「HOTEL GREEN CORE」を運営。同社は「識学」を取り入れており、責任と権限の明確化や評価制度など実際の活用事例を紹介した。
セミナー終了後は意見交換会に移行し、約50名の会員らがそれぞれ忌憚のない意見を交わしあった。


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文・オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp




