店舗内観。新たな空間は、“KDs クライン ダイサム アーキテクツ”がデザイン。熟成・貯蔵の折にワインがカーヴに抱かれるように、特別感がありつつもアットホームな温かさのある雰囲気の中で、八ヶ岳のテロワール、ワインと野菜のマリアージュを心ゆくまで堪能できる空間へと生まれかわった
日本初のワイン特区である山梨県北杜市にある「星野リゾート リゾナーレ八ヶ岳(以後、リゾナーレ八ヶ岳)」は、ファミリーリゾートとしてのみならず、今やワインリゾートとしても高い人気を誇っている。特に2000本以上の山梨及びイタリアワインを有し、八ヶ岳の食材がふんだんに使われたテロワールイタリアンとのマリアージュを楽しめるメインダイニング「OTTO SETTE」は、開業以来幅広い層のお客さまから愛されている。その「OTTO SETTE」がこの度、全面リニューアルオープンした。
今回のリニューアルに際し、「リゾナーレ八ヶ岳」は“KDs クライン ダイサム アーキテクツ”にデザインを依頼。高い吹き抜けが印象的だったこれまでのスタイリッシュな装いから一変、ワインカーブから着想を得たという半個室(※個室もある)、ワイン樽に使われるオーク材が使われたインテリア、ワインやテロワールを感じさせる色使いなど、“ワインというストーリー”を各所で感じられる雰囲気の中で食事を楽しめる空間に生まれ変わった。
変化は「OTTO SETTE」が提案する料理、そしてワインとのペアリングにも反映されている。
「OTTO SETTE」では今回のリニューアルに際し、これまで以上に八ヶ岳のテロワールが生み出す“口福”をお客さまに味わってもらいたいと、新たなコンセプトとして“Vino e Verdure(ワインと野菜)”を掲げた。「この土地ならではの“食材との出会い”を感じていただけるイタリア料理を提供していきたい」と鎌田匡人料理長
料理の新たなコンセプトは“Vino e Verdure”。
同店ではこれまでも八ヶ岳の食材をフィーチャーすべく、それら食材の美味しさを一皿一皿の上に表現してきた。その想いは店名にある“SETTE”が、“食材を提供する7人の達人(※達人は主に地元の生産者であり、季節によりその顔ぶれは変わる)”を意味していることからもうかがえる。
今回の取り組みではそんな“想い”にも新たな一面が加わった。もともと高原野菜の美味しさには定評のある八ヶ岳だがその気象条件は北イタリア似ており、イタリア野菜の生育にも適しているそうだ。そこで、鎌田料理長が得意とする“北イタリア料理のエスプリ”をより強く八ヶ岳食材で表現するため、今後、地元の生産者に依頼する形で日本ではまだ希少性の高いプンタレッラ、カルチョフィ、タルティーボなどのイタリア野菜の栽培にも挑戦していくという。このことは料理に厚みを持たせるだけでなく、地元とのつながりをより強くすることになるだろう。さらに、“想い、食材、空間”、そして同店が創業の際に掲げた“地域ならではの食材との出会い、素材本来の持ち味を活かしたイタリア料理の提供”というテーマへの原点回帰にも向き合った。そこで鎌田氏が打ち出したのが、前菜からデザートまで“すべてに野菜が使われているコース”で勝負するというアプローチだ。
現在、「OTTO SETTE」の食事は宿泊のお客さまのみとなっており、宿泊以外では味わうことが難しい。しかし宿泊するからこそ楽しめる “ワイン時間“がそこにはある。もちろん、「OTTO SETTE」のワインペアリングディナーがその筆頭にあるのはいわずもがなだ。しかし、ワインは好きだが、食事の際は2,3杯のワインが心地よいというお客さまもあるだろう。その場合にも、例えばデキャンタカラフェやグラスがリーデルで揃えられた客室の“ワインスィートメゾネット”に滞在する、 入手困難といわれる“ドメーヌ ミエ・イケノ”のワインも含め、さまざまな山梨ワインが試飲できる「八ヶ岳ワインハウス」(※気にいれば購入することもでき、さらに同店で購入したワインは施設内のレストランやカフェなどにおいて無料でBYOが可能)でテイスティングを楽しむ、八ヶ岳チーズなどがセレクトされたワインのお供・“VINO BOX”と共に客室でワインを楽しむなど、それぞれのスタイルで“ワイン時間“を楽しむのも同施設を訪れる魅力だ。
今回、同施設が手掛けたメインダイニングのリニューアルは、歴史を持つ施設が新たな魅力を創生する際に大きく参考となる事例であると筆者は考える。それには、“軸は守りつつも、インパクトと厚みという形で変化を提案”した料理長の存在も大きい。
“歴史と革新、そこからの未来”をテーマにする事業者はぜひ、新生「OTTO SETTE」を訪ねてみてもらいたい。
「星野リゾート 八ヶ岳」
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/risonareyatsugatake/
「OTTO SETTE」
https://hoshinoresorts.com/jp/sp/ottosette/
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp