北千住を拠点にドミナント戦略で出店を重ね、存在感を高めてきた㈱一歩一歩が、初の焼鳥業態となる「焼鳥2-61」をオープンした。炉端焼きや寿司、串かつといった業態に加え、青果店など小売事業も展開しながら街の日常に寄り添う店づくりを続けてきた同社が、北千住の街に新たな外食の魅力を提案すべく出店した、新たな挑戦だ。
焼鳥メニュー一例。同店の料理はいずれも美味しさが際立つが、初来店なら、同店ならではの焼鳥の魅力とおすすめの一品料理をまとめて楽しめる串6種の「はじめて串コース」や串8種の「焼鳥2-61コース」など、コースを選ぶのもいいだろう
同店開業の背景には、料理長・樋口大輝氏の焼鳥への強い思いがあったという。社長の大谷氏が彼と出会ったのは、コロナ禍に行われた面接の場だった。その際、樋口氏から語られたのは、焼鳥業態に挑戦したいという自身の意志と、大谷氏に対する「焼鳥店を開業する考えはあるのか」という率直な問いだった。その熱量に心を動かされ、大谷氏はその場で焼鳥業態の開発を約束したという。構想から数年を経て、満を持して実現したのが今回の「焼鳥2-61」のオープンである。人の思いを起点に構想を育み、かたちとして街に根付かせていく。そのプロセスに、“思いをつなぐ”という同社のビジョンが表れている。
写真左から料理長の樋口大輝氏と㈱一歩一歩 代表取締役の大谷順一氏。二人の出会いが、北千住に新たな外食の魅力を加えた。多岐にわたる事業を手掛ける大谷氏は、NPO居酒屋甲子園の理事長も務めた人物だ
そんな樋口氏の思いを表現した「焼鳥2-61」で提供される焼鳥は、素材選びから仕込み、焼きに至るまで、一串ごとに明確な意図が込められている。部位ごとに最適な銘柄鶏を使い分け、もも肉やむね肉には、店舗で2〜3日かけて丁寧に熟成させ、旨味を引き出した‟伊達鶏“を採用。ぼんじりやせせりは、山梨県から毎日直送される朝引きの‟紅ふじ鶏”を使用し、鮮度の高さを生かした仕立てとしている。つくねは鶏肉を独自にブレンドし、お麩を加えることで、軽やかでふんわりとした食感に仕上げた。串打ちにも細かなこだわりがあり、それぞれの肉種に合わせて肉汁の流れや舌ざわり、歯応えまで計算して行われる。タレは素材の持ち味を引き立てる配合で調整した自家製を使用。焼きには土佐備長炭を用い、遠赤外線の効果によって、表面は香ばしく、中はしっとりとした火入れを実現している。こうした一連の取り組みからも、構想段階で交わされた熱量の高さが、料理の細部にまで反映されている様子が見て取れる。
なお、同店の魅力は焼鳥にとどまらない。一品料理にも力を入れており、レバーのパテやリエット、自家製ドレッシングで仕上げた「2-61サラダ」、手羽先一夜干しの唐揚げ、ひとつひとつを蒸籠で蒸し上げる鶏焼売など、いずれも再訪動機を喚起するラインナップが揃っている。ドリンクメニューもまた、焼鳥との相性を軸に構成されている。クラフトジン「ROKU〈六〉」にゆず果汁を合わせたオリジナルカクテルや、だいだいなどの柑橘を用いた焼酎割りなど、青果業態も展開する同社の強みを生かした一杯が揃う。一方で、全国各地からセレクトした日本酒も幅広く用意されており、食中酒としてのバランスにも配慮。焼鳥を中心に据えながら、食事全体の流れを楽しませるドリンク提案となっている。
焼鳥に限らず、複数の業態を通じて地域や業界から確かな評価を積み重ねてきた同社。地域、生産者、そしてスタッフ一人ひとりの思いや夢と向き合いながら事業を育ててきたその姿勢も、注目を集めている。焼鳥業態については、既に店舗展開している石垣島での新たな展開も視野に入れるなか、次にどのような“つながり”を描いていくのか。その動向は、今後も注目されるところだ。
「焼鳥2-61」
https://www.instagram.com/yakitori2_61/








取材・執筆 毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp




