「源八船頭」の代表的な料理の数々。伝統的なメニューから、八丈島の伝統食材を現代風にアレンジしたものまで、同地の“美味しい”を堪能できる多彩な料理がそろっている
八丈島の食文化を、日本のみならず海外でも店舗展開を通じて発信している㈱源八船頭が、同ブランド8店舗目となる「八丈島郷土料理 源八船頭 目黒店」を目黒にオープンした。
同ブランドは、1980年に初代オーナーである金城昌光氏が小岩に創業した店舗を、2019年に㈱源八船頭が事業継承し、店舗展開を進めている。同店を継承するに至った背景には、金城氏が40年にわたりこだわり、愛してきた八丈島の食文化に対する強い思いに共鳴した点があったという。
その共鳴は、市場から職人が仕入れる鮮魚や、八丈島の生産者と連携して仕入れる明日葉・くさや、さらに希少な八丈島焼酎や地酒といった食材や飲料に表れている。特にくさやは、素材となる八丈産むろあじの収穫量が減少し、製造する職人も年々減少傾向にある中で、同社ではくさや文化を守るべく、くさやをより食べやすくアレンジしたメニューの開発にも取り組んでいる。ちなみにむろあじについては、他のメニューに使用するものも八丈島産にこだわり、仕入れを行なっているという。
店内には、“八丈島のおばあちゃんの家に帰ってきた”ような気持ちになってもらいたいとの思いから、‟八丈タンス“と呼ばれる民芸家具を特注で設えた。また、いくつかのエリアに分け、それぞれに島の名前を付けることで、さまざまなシーンで楽しめるゾーニングを意識している
そんなこだわりは、明日葉を使ったメニュー開発にも表れている。定番の天ぷらに加え、中華の青菜炒めのように調理した “明日葉と唐辛子のにんにく炒め” や、明日葉のピクルスをタルタルソースに加えた “源八のチキン南蛮” など、他では味わえない一品がそろう。中には、くさやと明日葉という八丈島の二大食材を組み合わせた “明日葉くさやマヨネーズ” もある。さらに、ウイスキーや焼酎に葉を浸した原液を使った “明日葉ハイボール” や “明日葉サワー” といったドリンクメニューも展開している。
そうした意味で、同店の店舗開発は、飲食店としての魅力を創出しているだけでなく、地方の食文化を守り、発信する拠点としてのロールモデルにもなり得る展開を実現しているといえる。美味しい食事を楽しむ目的はもちろんのこと、地方創生に携わる事業者や、観光コンテンツや地域の魅力開発に関わる自治体関係者にも、ぜひ一度足を運んでみてもらいたい。
「八丈島郷土料理 源八船頭 目黒店」
https://genpachisendou.com/








担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp